かもめ食堂/ ruokala lokki

update: April 13, 2006 | | Trackback (1)
category: cinemas
Previous: 四月物語 | Next: Jack Johnson at Makuhari

2006_0413.jpg

かもめ食堂」はスバラシイ!という大絶賛の声をあちこちでききまして・・観に行ってきました。劇場はほぼ満席、そして95%くらいは女性(会社帰りのOL)で占められていて、なんとなく「ここにいていいのだろうか」と思ってしまった。でも、たしかにこれはそこらへんの層にはすごくはまる映画なんだろうな。かといって男は合わないのかというとそんなことはない。女性らしい視点で爽やかに描かれたすごくいい映画です。

話しは淡々と進んでいき、極めてアンチクライマックスな普段の日常の断片が映し出されていくのだけど、なんていうか全体的に力が抜けたゆるーい感じが漂っていて、それがすごく心地いい。ちょっと変わった三人の女性が食堂を切り盛りしていっているんだけど「まあ、なんとかなるでしょ」と力んでないし、三人の距離感もべたべたせず、かといって突き放しているわけでもなく、なんていうかややよそよそしくあるけど僕はこういう距離感って好きです。なんていうか、あんまりべたべたと馴れあいすぎるのって、たとえ他人事であっても見ていて疲れるじゃないですか。

ところで。

映画のなかでは詳しく語られないんだけど、この三人の女性達は皆ちょっとずつ何かしら暗いバックグランドを持っているというか、きっと過去になにかあったんだろうなというのが透けてみえるような感じなのですが、だからといってその問題を引きずりまくって固執して恨み節なんてことはなく、もたいまさこが演じた女性がいっているように「いつまでも同じ服着ているわけにもいかない」といって、自分のペースを守りつつイメージチェンジしていくようにすごくさらっと乾いているというか、吹っ切れている。こういうのって、やはりフィンランド的なもの、デザインや森が作用するものなのだろうか。

映画の大部分は食堂で語られていることもあり、当然食事のシーンが多いのだけど主人公であるサチエさんが「食べなければ生きていけませんものねえ」という言葉にあるように、食事、それも人の心のこもった手料理を食べることによって、次第にみんながちょっとずつ幸せになっていくように見えるのが、すごく気持ちがいい。そうだよな、食べるって大切だよなと。で、ここで思い出すのはレイモンド・カーヴァーの「ささやかだけれど、役にたつこと」という短編に出てくる一文です。

「よかったら、あたしが焼いた温かいロールパンを食べて下さい。ちゃんと食べて、頑張って生きていかなきゃならんのだから。こんなときにはものを食べることです。それはささやかなことですが、助けになります」

- 「ささやかだけれど、役にたつこと」

「かもめ食堂」では「ささやかだけれど、役にたつこと」のように暗くはなくて、もっと脳天気な視点から同じようなことが語られていると思う。そしてなんだか観終わって数日してからじーんと心にしみる感じです。ううむ、こういうのをきらりと光るいい映画というのだろうな。ただ、観終わったあとはとにかくお腹がすいて仕方がないです。とにかくおにぎり食べたい!という気分になる。なので、空腹のときに観るのは非常に危険。映画の内容はともかく悪夢のような2時間になると思う。しっかり食べてから観に行きましょう。それは、ささやかなことですがこの映画を観るときの助けになります。

Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選
Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選

written by sinn
 

Recent Entry

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL: http://1975.heteml.jp/mt/mt-tb.cgi/225

この一覧は、次のエントリーを参照しています: かもめ食堂/ ruokala lokki:
» かもめ食堂/ ruokala lokki 2回目 送信元 sputnik blog
前回みてからまだ数日なんですが・・・またもや観に行ってしまいました。パンフレット欲しかったし・・。 [詳しくはこちら]

広告

MoMAオンラインストアジャパン
 
Sony Style(ソニースタイル)

アーカイブ

Flickr

www.flickr.com
This is a Flickr badge showing public photos from sinn. Make your own badge here.